「下駄」で足指の内在筋が鍛えられ つまづきの防止になる
もう1点は、郷土愛である。町おこしのため、全国的に知られていた「松永下駄」の再興を願って、下駄の研究に着手したという。
下駄の効能は、靴に比べて、まず通気性にたけていることから「水虫」にはなりづらい。
また、下駄は「外反母趾」(ハイヒールを好む女性に多く、親指のつけ根部分の骨が変形して痛みが生じる)の心配もほとんどない。
歩く姿勢も、必要以上に楽に歩けてしまう運動靴と相違し、程度よく負荷がかかる下駄履きは、特有の効果がある。
京都・舞子さんが好例のように、正しい姿勢の歩行は、ゆがむ姿勢を排除するなど、下駄は健全な体の一助になる。
「なんといっても下駄履きの健康は、足指の第1趾と第2趾の間に鼻緒を入れて歩くことですね。これは『内在筋』(歩行中に必要な柔軟性、弾力性の筋肉)を強めます。これが弱くなると可動域が制限されます。自動車社会で脚の筋肉が弱り、指の器用さも薄れ、歩く基本の足指が劣化してきました。その足指を鍛えるためにも、鼻緒をつかんで歩くのが効果的なのです。靴文化であるドイツの知人は、日本文化の下駄について感心していました」