がんに強い「ハイパーサーミア療法」は効果的で懐にも優しい

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「しかも、放射線や抗がん剤でがん細胞のDNA鎖の切断に成功しても、がん細胞は多くのDNA鎖修復酵素を分泌して生き延びようとします。温熱はそれを阻害します。つまり、温熱療法は放射線や抗がん剤の感受性強化の働きもあるのです」

■腫瘍が大きければ大きいほど効果的

 ほかにも、放射線と温熱ではがん細胞のどの時点での細胞周期で効くのかが異なる。そのため、併用することでがん細胞によりダメージを与えることができる。抗がん剤で活性化する転写因子を抑制することでがん細胞の抵抗性を抑えることができる。

「温熱療法には、もうひとつ良い点があります。細胞には、皮膚や内臓の表面を構成する上皮細胞と骨や血液をつくる間葉細胞があります。上皮細胞は規則正しく結合し、間葉細胞はそうでなく運動能力を持っています。上皮細胞の悪性腫瘍であるがんは、周囲に浸潤する過程で上皮細胞としての性格を失い、浸潤に有利になるように細胞が運動能力を持つよう変化する。これを上皮間葉転換(EMT)と呼びますが、温熱療法はこれを阻害する働きも持っているのです」

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