嗅覚・味覚障害の原因は支持細胞が炎症で障害された可能性
新型コロナウイルス感染症の初期に、嗅覚・味覚障害が多く見られるが、それは一般的な風邪をひいた後の嗅覚障害とは原因、症状や経過がやや異なるようだ。
風邪をひいた後、症状が改善してからも、嗅覚障害のみが残ることがある。感冒後嗅覚障害と呼ばれ、嗅覚障害全体の2割程度に及ぶ。
嗅覚障害が生じる原因として、次の2つのことが考えられている。ウイルスが感染した神経細胞組織を直接傷つけることと、ウイルスに対する免疫応答で動員される炎症細胞による細胞組織の障害だ。
一般に嗅覚障害の程度が軽度の場合は半年程度で治ることが多く、中等度から高度の障害では半年たってようやく改善が始まることが多いといわれている。長期的には、8割の患者が改善するが、完全に戻るのは3割程度と報告されている。
新型コロナウイルス感染では、鼻閉や鼻汁といった鼻炎症状により嗅覚障害が生じた場合だけでなく、鼻炎症状がないにもかかわらず突然に重度の嗅覚障害だけが生じたケースも報告されている。後者の例は一般的な風邪による嗅覚障害ではない。