「鍼灸」がうつ症状を改善する 専門医がうつ病学会で発表

公開日: 更新日:

 大抵の患者が、1回目の施術から「体が楽になった」と話す。翌日には元通りに戻るものの、繰り返し鍼灸を行ううち、ベースラインが良くなっていくという。

「鍼灸はプラセボ条件を設定するのは難しく、体が楽になったのはすべて鍼灸のおかげかは現段階ではなんとも言えません。もしかしたら、丁寧に1時間ほどかけて週2回、5週間かけてケアをしてもらうことが功を奏し、鍼灸とは関係なしに、体調が良くなっているのかもしれない。今後さらなる研究が必要ですが、昭和大学の生理学の先生がネズミに鍼灸を行ったところストレスホルモンが減少したというデータを出しており、鍼灸が人にも同様の結果を出している可能性があります」

 中村医師が鍼灸に期待するのは、「なんの効果も感じなかった」という患者がとても少なかった点も大きい。

「私はうつ病患者さんの脳に磁気刺激を与える反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の臨床研究も行ってきたのですが、これは効く人と効かない人がいます。一方、鍼灸は程度の差はあれ、鍼灸を行ったうつ病患者トータル約300人が、なんらかの改善効果を報告しているのです。副作用で脱落する人もいない。マイナス点が少ない治療の選択肢ということで、今後さらなるデータを取って、臨床で行えるようにしていきたい」

 ゆくゆくは、精神科と鍼灸で手を組んで集学的なうつ病治療を行うことも考えているそうだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…