超音波で肺炎を見つけられる? レントゲンより正確なケースも
肺炎は高齢者の死因としても大きな比率を占めていますし、新型コロナウイルス感染症でも、重症化の大きな原因となる病気です。
肺炎の診断は胸のレントゲン撮影やCT検査で行われることが通常ですが、寝たきりの高齢者では自宅での検査は困難です。また、新型コロナウイルス感染症で自宅療養をしているような時にも、その診断は難しいのが実際です。そのために、手遅れになって亡くなることがあるのです。
それでは、肺炎の有無をもっと簡単に調べる方法はないのでしょうか? 最近、注目されているのが超音波(エコー)検査です。人間ドックなどでお腹の検査として行われていますし、妊娠した女性では赤ちゃんの育ち方を見ることもできます。
ただ、超音波は空気に邪魔されてしまうので、肺のような空気のある場所の検査には不向きだとこれまで考えられていました。しかし、最近の研究により、超音波でも肺炎が見つかることが徐々に分かってきたのです。
2015年、呼吸器の専門誌に掲載された論文によると、熟練した医師や技師による超音波検査は、レントゲン検査よりむしろ正確に、肺炎の有無を診断できた、という結果が報告されています。超音波検査は携帯型の装置が開発されていて、訪問診療や事故現場での救急医療でも活用されています。今後、肺炎の診断はレントゲンよりも超音波、という時代になるかもしれません。