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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

サッカー選手に相次ぐ心臓トラブルの一因は「冠動脈起始異常」の可能性

公開日: 更新日:

血圧の急上昇が致死的な不整脈につながる

 先日、右冠動脈の起始異常がある48歳の男性を手術した際、術中に血圧を上げ、冠動脈の血流を測定すると、やはり血流が急激に減る状態が確認できました。つまり、普段の安静時は症状はなく、血圧が上がったときに何らかの症状が出るということです。

 起始異常がある人は、日常生活で頭に血が上ってエキサイトしたり、いきなり体を動かすなどして血圧が急上昇すると、血流がなくなって心室細動を起こす危険があるといえます。これが、アスリートとなるとさらにリスクはアップすると考えられます。

 とりわけサッカーは、試合中、常に走り続けているわけではありません。急にダッシュしたり、止まったり、方向転換したりといったように、オン・オフが激しいスポーツです。いったん休んで呼吸を整え、ボールや相手選手の動きに合わせて一気に加速して走るといった動きを繰り返す場面もたくさんあります。当然、血圧は急激に上下動しますから、起始異常があると再灌流障害から心室細動を起こして倒れ、AED(自動体外式除細動器)による処置が間に合わなければ死に至る--そうしたアクシデントが起こり得るといえるでしょう。

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