肩の腱は切れてもレントゲンだけでは正しい診断がつきにくい
今回も、中年以降に起こる肩痛のひとつ、「腱板断裂」のお話をします。
肩の腱が切れることで、痛みや動かしづらさが出たのが腱板断裂です。「腱」といえば、みなさんが馴染みやすいのは、ふくらはぎからかかとに伸びるアキレス腱ではないでしょうか?
アキレス腱が切れたとき、よく言われるのが「『バチッ』という音が聞こえた」「ふくらはぎを棒でたたかれたような感じがして、その場で立っていられずしゃがみこんでしまった」など。
明らかな異変のため、アキレス腱を切った人はすぐに病院を訪れます。アキレス腱は足首の後ろの皮膚の下に透けて見えますし、足首の後ろでピンと張った筋がなくなり断裂部分がペコンとへこむので診断も簡単です。
一方、「肩の腱が切れた!」と思って病院に来る人は極めてまれです。
切れた瞬間を自覚しづらいだけでなく、腱板断裂のせいで痛くて動かしづらいのに、その症状を「五十肩」だと思い込み、長期間、様子を見ていたという人はたくさんいます。さらに最終的に腱板断裂と診断がついた患者さんでも、これまで病院で「五十肩」と診断されてきたという人もたびたび見受けます。