老親の「動こう」「楽しもう」という気持ちを尊重しサポートしよう
「おばあちゃんも年齢が年齢だし、新幹線に乗って東京へなんて、一人で行かせられない。私が一緒に行ければいいけど、仕事があって難しいし、兄(『祖母』の息子、女性の伯父)だっていい顔しない。第一、ディズニーランドで転んだりしたら、どうするの」
女性が悔いているのは、「それもそうだな」と思ってしまったところ。もう80代半ばなんだし、何かあったらどうする。祖母には、「お母さんが反対しているから」と伝え、祖母とのディズニーランド計画は没になりました。それ以来、祖母も「ディズニーランドへ行きたい」とは一切言わなくなりました。
それから数年のうちに祖母の足腰の弱りはひどくなり、周囲が心配するからと、日課だった散歩もしなくなりました。90歳過ぎでがんが見つかり、最後の数カ月は入院生活。自宅に戻ることなく、病院で息を引き取りました。
女性はしばらく、祖母がディズニーランドへ行きたがっていたことを忘れていたそうです。でも自分が年を重ねるにつれ、「あのときなぜ、反対を無視して、強引にディズニーランドへ行かなかったんだろう。まだ、おばあちゃんは元気だったのに」と思い返すようになりました。母親が反対した気持ちもわかる。何かあったらどうするんだと、先回りして心配する気持ちもわかる。