堀田秀吾
著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

リモート会議するなら1対1。大勢での問題解決は対面で

公開日: 更新日:

 また、1対1ならまだしも、多人数で行うミーティングやブレストがいまいち盛り上がらないのもリモートの難点ではないでしょうか。雑談は暖機運転よろしく、ほどよいコミュニケーションをつくり出すポイントになるのですが、リモートではそのような雰囲気になりづらい。

 また、オンラインは記録として残ってしまうため、おとなしくしていようという心理や傍観者効果が働きやすくなるという点も挙げられます。

 フロリダ大学のショーは、コミュニケーションの形態に関する先行研究を含めて概観する研究(1964年)を行っているのですが、多対多の形態では、①「課題の多角的な検討に優れている」②「複雑な課題の解決に向いている」③「参加者の士気・満足度が高い」といった点が優れていると明らかにしています。

 対して、リモート環境が得意としているのは1対1、あるいは1対多の関係による情報伝達です。これは1人の話し手が聞き手に対し一方的に話す、あるいは聞き手はただ聞くだけで成立するようなシチュエーションを意味します。しかし、ショーが示すように複雑な問題解決においては多対多の関係性が望ましい。なぜなら、クリエーティブな作業には、いろいろな人と複線的に話せるコミュニケーションがあった方がアイデアが豊かになり、思いもよらないアイデアが降ってくるからです。ところが、リモート環境ではこうした本来、多対多が持つ優越性を損なわさせてしまうため、大勢が集まっても複雑な問題解決(またはクリエーティブな作業)に向かないという現象が起こりうるわけです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」