なるべく楽に最期を迎えられるようお手伝いをしてもらいたい…末期がんの夫と暮らす妻の思い
「透析やめてからが大変になってくるのかなと自分では思うのですが、大丈夫でしょうか」(妻)
「大丈夫だと思います。ご不安なこととかはありますか?」(私)
昨年11月初旬のことです。自宅に伺った私たちにこう話しかけてきたのは、横行結腸がんを患う70歳の旦那さんと一緒に暮らす奥さま。これまで高血圧のために腎機能の低下もあり、人工透析のために通院もされていた旦那さんでしたが、余命が少ないことも受け入れ、透析をやめ、覚悟を決めての自宅療養となったのでした。
「不安なことばかりで。ただこうして周りに医療スタッフもいてくださいますし……。なるべく楽に最期を迎えられるようにお手伝いをしてもらおうと思っていますので、そういうオーダーしかないです。無理やりなにかしようとかはないです」(妻)
これまでにも多様な価値観やさまざまな思いをお持ちの患者さんと接してきましたが、大切なことは共通しています。それは、患者さんが自宅で最期まで自分らしく生きるということ、ご家族の方が、心穏やかに納得してその患者さんとのお別れを受け入れるということ。これに尽きるかと思っています。