なるべく楽に最期を迎えられるようお手伝いをしてもらいたい…末期がんの夫と暮らす妻の思い
「特別なことはせずに、普通の日常を過ごそうと思っています。今日の午後、いろんな方に来ていただきます。明日は意識が朦朧とするかもしれませんから」(妻)
「耳は聞こえていることが多いですよ」(私)
「じゃあ、めったなことは言えないですね(笑)。楽しく過ごします」(妻)
別れを受けいれられたご家族の、前向きな明るさに私たちスタッフは救われています。
普通は、呼吸の状態が悪くなって動けなくなってくる様子があると、週から日の単位になります。ただ、見極めが難しいところもあります。
「血圧が高くなってきたり、おしっこが出なくなると、もうこれが時間の問題になってくると思います。そのようなことは今のところないですが、それでも恐らく12月を迎えるのが難しいのかなと。人生に1度しかないお別れの期間ですので、言いたいことを全部言えたな、できたなってことを後から思えるように過ごしていただければ、それだけで満点です」(私)
このやりとりから1カ月余りで、患者さんは旅立たれて行かれました。残された奥さまのやり終えたというすがすがしい様子に、私たちは勇気をもらったのでした。最愛の方と過ごす大切な時間を最期まで満点を目指してサポートする。これもまた在宅医療の大切な仕事なのです。