足腰が痛んでしびれる「すべり症」は80代でも手術で治せる
足腰がひどく痛んで歩けない--。中高年の女性に多いのが「腰椎変性すべり症」だ。近年は体への負担が少ない新しい手術法が取り入れられているという。総合東京病院脊椎脊髄センター長の伊藤康信氏に詳しく聞いた。
腰椎すべり症は、積み木のように重なる腰椎が前方にずれた状態になり、過度なスポーツなどが原因で10代に発症する「分離すべり症」と、椎間板の変性で起こる「変性すべり症」の2種類に分けられる。
中でも変性すべり症は40代以降の女性に多い。
「加齢によって腰の骨(椎体)同士の間でクッションの役割を担っている椎間板に変性が起こると、圧迫に耐えきれなくなって潰れ、椎体を正しい位置で引っ張る靱帯によどみができて椎体が前方にずれていきます。その結果、椎体の後ろ側にある脊柱管も狭くなり、その中を通る馬尾神経が圧迫され腰痛やしびれの症状が現れるのです」
症状は、立つ、歩くといった体動時に見られやすい。
主婦の場合、腰痛をかばうために椅子に座りながら、キッチンに肘をついて台所仕事を行っている人も少なくない。休憩を挟みながらでないと歩くのが難しくなる間欠性跛行や、進行すると残尿感や失禁といった膀胱直腸障害がみられる危険性も高いので、早い段階で治療を始める必要があるという。