足腰が痛んでしびれる「すべり症」は80代でも手術で治せる
「椎体のずれが軽度であれば、薬の服用やリハビリだけで症状はかなり改善されます。一方で、保存的治療の効果がなく、検査画像上でもずれが重度で日常生活に支障を来し、本人が望む場合には手術を検討します。特に近年は独居の高齢者も多く、『自分の身の回りの世話ができなければ生活できない』と手術に踏み切る方もいます」
高齢者は、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患などの合併症をもつ割合が高いので、検査を行った上で全身麻酔に耐えられると判断されれば、80代でも手術が可能だという。
■最新手術は傷口が小さく出血も少ない
変性すべり症の手術法は、これまで腰椎後方椎体間固定術(PLIF・TLIF)が主流だったが、近年、画期的な手術法として注目されているのが腰椎側方椎体間固定術(XLIF・OLIF)だ。日本には2013年に導入され、総合東京病院でも17年から用いられている。
「PLIF・TLIFは、背中側から鳥かご状のケージを挿入し椎間板を持ち上げる方法ですが、後方は筋肉が多く椎体の後ろにある骨(椎弓)を削る必要もあり、出血量が多いというデメリットがありました。それがXLIF・OLIFは左脇腹から行うので、骨を削る必要がなく出血量も少量で済みます。手術の傷口も5センチ程度と小さいので術後の傷の痛みも少ないのです」