1人暮らしの高齢男性は「口の中の健康」を悪化させやすい…手遅れになるケースも
また、1人暮らしの高齢男性は外にコミュニティーがなく、定年退職後は自宅にこもりがちになる場合が多い。逆に外で仕事を続けていたり、友人や知人と交流があって外出する機会が多い人は、手遅れになるまで口腔内トラブルを放置するケースは少ないという。家族と同じように周りの人たちからの「客観的な評価」によって自覚できるうえ、「周囲の目」も意識するからだ。
「以前、前歯が2本抜けてしまっていた80歳の男性が、前歯をきれいに治してほしいと来院されました。それまで通っていた歯科医院では積極的な治療はせず現状維持を勧められていたものの、やはり治療したいとのことでした。その男性は1人暮らしでしたが、友人たちと定期的にマージャンを楽しんでいて、その際に食事がしにくかったり、見た目が気になっていたといいます。そこで、残っている両脇の歯を支えにして一体型のかぶせ物を装着するブリッジを入れる治療を実施したところ、満足して喜んでいただけました。『客観的な評価』と『周囲の目』は、口腔内の健康を維持するうえでそれくらい大切なのです」
斉藤歯科医院では、高齢の患者が初めて来院した場合、必ず詳細な問診=スクリーニングを実施するという。家族構成、同居か独居か、友人の有無、定期的に外出する機会はあるか、食事の頻度や傾向などについて、しっかり確認する。治療後もきちんと口腔内の健康を維持できるかどうか、それらが重要な要素になるからだ。