関心高まる「美容医療」~トラブルから身を守る(3)PRP療法は混合注入に注意
日本美容外科学会が行った調査では、細胞を注入する施術により生じた合併症のうち、約4割はPRPとbFGFの混合だという。
41歳の女性は、頬のたるみを改善しようと3年前に左頬へPRPとbFGFの混合注入をした。半年前から頬が過剰に膨らむようになり、触ると硬いしこりが生じていたため美容後遺症外来を受診した。
「この女性は、耳の前の部分の皮膚を切開し、しこりを除去すると同時にたるみを持ち上げるフェイスリフト治療を行いました。現時点ではこういった後遺症に対する確実な治療法がなく、一部の美容クリニックで行われているステロイドの局所注射などで改善が見られない場合には、皮膚を切開して異物を除去する治療が必要になるなどのリスクがあると知っておく必要があります」
2020年に日本美容外科学会が発表した指針では、PRPとbFGFの混合注入は「安易には勧められない」とされている。反対に、大規模な症例集積研究では、PRP単体よりも混合注入の方が患者の満足度が高いとの報告もある。
後遺症のリスクを知った上で、自分に合った施術を選択したい。 (つづく)