運動器疾患と廃用症候群を予防するためにはどんな対策が必要なのか
リハビリ医が「攻めのリハビリ」を実践するには、患者さんの全身管理を行う能力が欠かせません。中でも、再発を予防する医療に関する知識と対応力が求められます。
前回お話ししたように、回復期リハビリ病棟には、脳血管疾患、運動器疾患、廃用症候群の3群の患者が入ります。今回は、運動時疾患と廃用症候群の患者さんにどのような再発予防策が必要になるのかについて解説します。
「運動器疾患」は大腿骨近位部骨折と腰椎圧迫骨折が多く、これらは転倒・転落によって生じるケースがほとんどです。そのため、リハビリで「転倒しない体」をつくることと骨粗しょう症の内服治療が重要になります。
人の筋肉は鍛えると、たとえ100歳でも増強します。われわれの施設では、筋力と体力を上げるためにマシンや器具を使った純粋な筋力トレーニングを行っています。転倒リスクを減らすために最も重要なお尻を含めた大腿部の筋力をアップさせるトレーニングに加え、腹筋、背筋、上半身の筋力トレーニングにも取り組み、あわせてバランスと肩や股関節と脊椎の可動域を向上させます。回復期病院から退院した後も、筋肉、体力、バランス、柔軟性を保つためにはシニア専門スポーツジムでのトレーニングが必要です。スポーツジムは、若者用のマシンのみを設置している施設ではなく、インストラクターがしっかり体と心のカルテを作って管理してくれるスポーツジムを選びましょう。