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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

天才物理学者アインシュタインの脳に見られる特徴とは?

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○○をやって楽しかった…結果、認知症予防になった

 脳の左右差は、どういう働きの違いがあるのか? 左脳は言語、計算、理論など論理的・概念的思考の役割を担い、右脳は音楽や芸術、発想やひらめきなどといった感性の役割を担っています。

 しばしばいわれる「左右の脳をつなぐ脳梁は男女差があり、女性の方が太い」というもの。「女性の方が脳梁が太い」という研究結果は1982年に男性9人、女性5人の解剖データが基になっているもので、否定する研究結果が複数出ています。「男性脳、女性脳は存在しない」ことを示す研究結果も出ており、現在は、男女の脳には平均値を見れば差があるものの、脳は男女差ではなく個人差が大きいと捉えられています。

 左脳、右脳それぞれの鍛え方については、インターネットでいろんな方法が紹介されていますし、関連本もたくさん書店に並んでいます。これまでの私の連載を読んでくださっている方には理解してもらえると思いますが、別に楽しくもないのに、それらが紹介されている方法を取り入れても、脳に良い刺激を与えられるわけではありません。

 左脳を鍛えれば、あるいは右脳を鍛えれば、認知症予防になるというエビデンスはありません。そもそも「認知症予防になるから○○○をすべし」という考え方自体が好きではありません。「何かをやって楽しい、結果、認知症予防になった」が本来の形だと考えています。

 以前にも書きましたが、最近、私はバラの挿し木にチャレンジしています。濃い赤いバラが好きで、たまたま元気の良い枝が手に入ったものですから、挿し木をやってみようと思ったわけですが、これがなかなか難しい。インターネットなどで情報を集め、試行錯誤しながら、バラの世話をしています。

 新しいことを知るのは楽しいし、たとえ失敗したとしても「何が悪かったのか。どうやればうまくいくのか」と考えるのも楽しい。今後、バラの葉が増え、ビロードのように美しい深紅のバラが何輪も咲くことを想像すると、ワクワクしてきます。挿し木を認知症予防のためにやっているわけではありませんが、間違いなく、脳にいいことをしているといえるでしょう。

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