あんな真っ白なところに行ったら調子悪くなる…90代独居男性は受診を断固拒否
「病院に行きたがらなくて困っています。そちらで診てくれませんか」
7月のある暑い日のことでした。新宿区内にある地域包括支援センターからそんな連絡が我々の診療所に届きました。
連絡をいただきさっそく訪問診療に向かったのは、脱水症状があるにもかかわらず、夏の暑い日中なのに冷房をつけないまま、病院の受診を拒否する、90代の独居男性の自宅でした。
高齢の患者さんは時に病院を毛嫌いし、病院に行く必要があったとしても拒否をする方が少なくありません。
多少の痛さや体のしんどさがあっても、さしあたって生活できないほどに深刻な状況でない限りは、人との関わりを疎むあまりに医療機関での受診を避ける人もいらっしゃいます。その理由も患者さんの置かれた環境や考え方によりさまざまです。
この男性の場合は「お金がもったいない……、もうこのままでよい、あんな真っ白なところ(病院)に行ったらかえって調子悪くなる」といった金銭的理由と精神的なストレスを避けたいといった理由のようでした。