真夏前に知っておくべき「性感染症」(2)梅毒を疑ったら3週間後に血液検査を
そもそも梅毒とはどんな病気なのか? 性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長が言う。
「梅毒は梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌性の性感染症です。病名は症状に見られる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。この病原菌は粘膜で感染するため、性器だけでなく、口腔性交でのど、肛門性交で直腸などにも感染します」
感染すると数週間の潜伏期間を経て全身症状を引き起こす。感染からの経過時間と症状により早期顕症梅毒Ⅰ期とⅡ期、晩期顕症梅毒に分かれる。
Ⅰ期は、感染から3カ月くらいまでの期間で、梅毒トレポネーマの侵入口となった陰部、口唇、口腔内、肛門周辺などに硬いシコリ、びらん、潰瘍、リンパ節の腫れなどの症状があらわれる。Ⅱ期は感染後3カ月以降の期間に、顔や手足などに1~2センチ大の淡く赤い斑点ができ、しばらくすると自然消滅するが、また小豆大ほどの赤褐色や赤銅色の盛り上がりが体のあちこちにできるという。
「赤い斑点はいわゆるバラ疹と呼ばれる無痛性の紅斑で、ほかに発熱、倦怠感、全身性リンパ節腫脹などさまざまな全身症状がみられます。こちらもしばらくすると自然消滅します。しかし、そのまま無治療で3年以上経過すると、骨や筋肉や皮膚にゴムのような腫物ができると晩期顕症梅毒となります。さらに無治療で10年以上経過すると脊髄病変による手足のマヒ、心臓や血管の病気、目の梅毒による失明など重篤な病気を引き起こすことになります」