足の切断を余儀なくされ…位置はどのように決まるのか?
「足の切断が必要と告げられたのですが、できるだけ残したくて……」
この60代の男性は、15年ほど前に糖尿病を発症し、神経障害や血管障害といった糖尿病の合併症による足壊疽でかかりつけの医師から切断を余儀なくされたとのことです。
糖尿病による足壊疽や、悪性腫瘍などで足の切断を控える患者さんの中には、「いびつな形でも構わないから切断範囲をなるべく小さくしたい」と訴える方が少なくありません。けれども、足は「歩く」機能を果たしてこそ存在する意味を持ちます。少しでも足を広く残そうとしてかかとの位置で切断すると、義足が十分にフィットしにくく、装着したとしても足全体に荷重をかけられずスムーズな歩行が難しい。足の機能性が失われると同時に、QOL(生活の質)の低下を招くので、患者さんによっては血行障害や感染の範囲がかかとまでにとどまっていたとしても、下肢での切断が選択されるケースもあるのです。
切断する位置は、主に義足がしっかりとはまり、体重を支えられる膝下約15センチで行われます。ただし、義足を装着しても手術後にリハビリを続けられなければ、再び歩くことはできません。手術前に、術後のリハビリができるか、義足を装着して歩けるほどの筋力があるか、体力や筋力の評価を行い、最終的に切断部位を決めています。