災害時の応急処置(4)突き刺さっている異物をうかつに抜いてはいけない
災害時のケガとして、想定しておくべきなのが異物による「刺し傷」だ。東京消防庁救急部の上曽一永消防司令補はこう話す。
「細かいガラスや小さなクギが刺さった場合、できる限り取り除いて、すみやかに傷口を流水で洗って清潔な状態にします。やっぱり一番怖いのは感染症です。もし傷口から出血しているようでしたら、上からガーゼ布などを当てて強く押して止血してください。細い棒のようなものが内臓に刺さっていたり、太い血管に刺さっているような場合は、それによって出血が止まっている可能性があります。うかつに抜いてしまうと出血がひどくなるかもしれませんので、救急隊や医療従事者が来るまで、なるべくそのままの状態を保つようにしてください」
突き刺さっている異物を抜いていいのかどうか、一般人が判断することは難しい。なぜなら、そこに太い血管が通っているのか通っていないのかわからないからだ。
また、擦り傷などは破傷風などの感染症の恐れがあるため、できるだけ清潔な水で洗い流す必要がある。水がない場合は、ガーゼなどで傷口を覆い、清潔に保つようにする。ガーゼがなければ食品用ラップやビニール袋、衣服などで代用してもいい。できるだけ清潔に保ち、さらなる感染を防ぐことが目的だ。