災害時の応急処置(2)強く押さえ続ける圧迫止血では紙は使わない
災害時に想定されるリスクのひとつが「出血」だ。何らかのケガによって大出血が止まらなくなると、命の危険もある。日々、救急業務に当たる東京消防庁救急部の木村和巳消防司令と、上曽一永消防司令補に、応急処置の方法を聞いた。
「出血しているところに清潔なタオルやガーゼ、ハンカチなどを当てて、その上から強く押さえて止めるという『直接圧迫止血法』が基本になります。ほとんどの出血は、この方法で止血することができます。控えていただきたいのは、押さえている箇所から手を離して、『血が止まったかな?』と頻繁に確認してしまうことです。ある程度固まってきたものを、はがしてしまうことになります。これを知らない人は多く、ついつい患部を確認してしまってなかなか血が止まらないというケースが多いので、とにかく押さえ続けるようにしてください」(木村消防司令)
災害時には清潔な布が手元にないケースもあるだろう。その場合に極力、避けるべきなのが「紙」を使うことだ。
「出血部位を押さえる際に、脱脂綿やティッシュペーパーを使用してしまうと、繊維が傷口に入ってしまうので好ましくありません。なるべく、清潔なガーゼ、ハンカチ、タオル、キッチンペーパーなどを使いましょう」(上曽消防司令補)