皮膚を見れば病気が分かる(3)首の後ろが硬くなっていたら糖尿病が進行したサイン
悪性腫瘍や内分泌障害など、内臓の病気と関連して生じる皮膚症状を「デルマドローム」という。中でも日本人の5人に1人が罹患しているとされる糖尿病は、血糖コントロールが悪く糖尿病が進行すると、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすい。東邦大学医療センター佐倉病院皮膚科教授の樋口哲也氏に聞いた。
60代の男性は、以前から健康診断で血糖値が高いと指摘されていたが、仕事の忙しさから受診を後回しにしていた。ある日、入浴中に首の後ろを触ると、皮膚が木板のように硬く、指で押しても皮膚に痕が残らないことに気付き、皮膚科を受診。触診や血液検査の結果から、糖尿病によって起こる「糖尿病性浮腫性硬化症」と診断された。
「糖尿病性浮腫性硬化症は、皮膚の代謝異常により生じるデルマドロームのひとつです。首の後ろから背中にかけて皮膚が腫れてガチガチに硬くなるのが特徴で、首が回りにくいと訴える方も少なくありません。糖尿病の罹病歴が長く、血糖コントロールが悪い人に見られる傾向が高いので、治療を後回しにしている方は注意が必要です」
ほかにも糖尿病が発見されるきっかけになりやすいデルマドロームに「環状肉芽腫」がある。リング状の硬く、隆起した赤い皮疹が全身に多発する症状が見られ、かゆみや痛みなどの自覚症状は伴わない。糖尿病患者の約20%に合併するとされ、比較的頻度が高いデルマドロームのひとつと考えられている。