長寿研究のいまを知る(5)危険因子は「糖化」「酸化」「炎症」
むろん、からだにはこれらを退治するためのしくみ(抗酸化作用)があり、抗酸化物が自らの電子を提供することで酸化を防ぐ。しかし、不摂生な生活や加齢により、その作用が低下して、酸化が優勢になってしまう。結果、からだがさびついた状態になり、老化していくのだ。
「炎症」とは、からだに負荷がかかったときに生じる反応のことで、「熱くなる」「赤くなる」「腫れる」「痛みを伴う」「組織の機能不全」を炎症の5兆候と呼ぶ。
「炎症には急性と慢性の2つあり、一定期間が過ぎれば治まるはずの炎症が低レベルで長期間持続して慢性化した状態が慢性炎症です。自覚しにくいため病態が進みやすく老化との関わりが深いことがわかっています」
限界を超えて分裂しなくなった老化細胞は加齢とともに体内に蓄積されるが、そこからは炎症作用や発がん促進作用のあるさまざまな物質が分泌されていることがわかっている。このため老化細胞が増えると慢性炎症になりやすく、さらに細胞の老化が進んで細胞が構成する組織や器官も衰えていくことになる。
「慢性炎症は肥満、喫煙、歯周病などでも生じます。だからこそ老化予防には、ダイエットや禁煙、口腔内ケアが重要になるのです」 (つづく)