新薬の登場で認知症は早期発見がいよいよ重要になってきた
アルツハイマー型認知症の原因物質、アミロイドβを除去する2つの薬「レケンビ(レカネマブ/2023年9月承認)」と「ケサンラ(ドナネマブ/24年9月承認)」。前回に続き、これらの薬について紹介したいと思います。
レケンビとケサンラは作用機序、副作用は同じですが、対象や使い方にやや違いがあります。
アミロイドβは、認知機能低下などの症状が出る20年以上前から脳に蓄積し始め、タウタンパクの凝集、脳の神経細胞の死滅、脳の萎縮を引き起こします。脳の萎縮が起こってからアミロイドβ除去の薬を投与しても遅く、その前から行わなければなりません。
そのためレケンビ、ケサンラともに、軽度のアルツハイマー型認知症か、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の患者さんが対象。残念ながら症状が進行した患者さんは対象外となります。
なお、「軽度のアルツハイマー型認知症」も「MCI(軽度認知障害)」もどちらも“軽度”がつきますが、一方はすでに認知症と診断されており、一方はそうではありません。
認知機能の評価は、MMSE(ミニメンタルステート検査)で行います。認知機能を簡易に検査できるテストで、30点満点、27点以上が問題なしとなります。
レケンビでは22点以上、ケサンラは20点以上が投与の対象。わずか2点ではありますが、ケサンラの方が認知機能の低下が少し進んでいても、投与の対象となります。
認知症には、アミロイドβが原因物質の場合もあれば、そうではないものもあります。レケンビもケサンラもアミロイドβに働きかけるわけですから、アミロイドβの蓄積が必須条件。
アミロイドPETや髄液検査を、投与前に必ず行います。