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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

新薬の登場で認知症は早期発見がいよいよ重要になってきた

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 アルツハイマー型認知症の原因物質、アミロイドβを除去する2つの薬「レケンビ(レカネマブ/2023年9月承認)」と「ケサンラ(ドナネマブ/24年9月承認)」。前回に続き、これらの薬について紹介したいと思います。

 レケンビとケサンラは作用機序、副作用は同じですが、対象や使い方にやや違いがあります。

 アミロイドβは、認知機能低下などの症状が出る20年以上前から脳に蓄積し始め、タウタンパクの凝集、脳の神経細胞の死滅、脳の萎縮を引き起こします。脳の萎縮が起こってからアミロイドβ除去の薬を投与しても遅く、その前から行わなければなりません。

 そのためレケンビ、ケサンラともに、軽度のアルツハイマー型認知症か、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の患者さんが対象。残念ながら症状が進行した患者さんは対象外となります。

 なお、「軽度のアルツハイマー型認知症」も「MCI(軽度認知障害)」もどちらも“軽度”がつきますが、一方はすでに認知症と診断されており、一方はそうではありません。

 認知機能の評価は、MMSE(ミニメンタルステート検査)で行います。認知機能を簡易に検査できるテストで、30点満点、27点以上が問題なしとなります。

 レケンビでは22点以上、ケサンラは20点以上が投与の対象。わずか2点ではありますが、ケサンラの方が認知機能の低下が少し進んでいても、投与の対象となります。

 認知症には、アミロイドβが原因物質の場合もあれば、そうではないものもあります。レケンビもケサンラもアミロイドβに働きかけるわけですから、アミロイドβの蓄積が必須条件。

 アミロイドPETや髄液検査を、投与前に必ず行います。

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