(17)「温活」と長寿…なぜ、温泉やサウナは体にいいのか?
HSPはタンパク質の変性の抑制や変性したタンパク質の修復を行う。なかでもHSP70は新たに合成されたタンパク質のアミノ酸の折り畳み(タンパク質はアミノ酸が数十から数百ほど連なったもの。その並びはDNA内の遺伝子情報で決められていて、正しく折りたたむことでタンパク質が正常に機能する)、タンパク質の輸送や品質管理、不要になったタンパク質の分解など、タンパク質の一生を面倒見るストレスタンパク質のひとつとされている。
老化の根本的なメカニズムを特定するために、2013年にオランダの研究チームによって生み出された枠組みに「AGING HALLMARKS(エイジングホールマークス)」がある。もともとは9種類とされていた要因について、最初の発表から10年間でさらに蓄積した老化研究をもとに新たに12種類の要因に定義づけられた。
12種類とは、①ゲノムの不安定性②テロメアの短縮③エピジェネティックな変化④タンパク質恒常性の喪失⑤オートファジーの機能低下⑥栄養感知の異常⑦ミトコンドリアの機能異常⑧細胞老化⑨幹細胞の枯渇⑩細胞間コミュニケーションの変化⑪慢性炎症⑫腸内細菌叢の変化、である。