がん血管内治療は「アブスコパル効果」の導火線になる
日本では1985年に高度先進医療に採用され、90年には放射線併用で公的医療保険適用となった。現在では、化学療法併用並びに単独治療においても一部保険適用となっている。2023年3月には「ハイパーサーミア診療ガイドライン2023年版」が発行され、国内大学病院などを中心に学会の認定施設もある。
このふたつの治療法を行うと、なぜ、「アブスコパル効果」が生まれるのか?
「主役となるのは樹状細胞です。免疫細胞の一種で全身に存在して白血球の司令塔の役割があります。がん血管内治療で死滅したがん細胞から出てきたタンパク質や細胞の情報を察知し、その特徴を記憶してT細胞にその情報を伝え、攻撃を命じます。そのことで、離れた場所にあるがん細胞も攻撃できるのです」(堀院長)
■ハイパーサーミア併用で全身制御の可能性
興味深いのは、この組み合わせによる攻撃対象は、がん血管内治療の対象とならない小さな病変や、視認できない潜在的ながん細胞など広範囲に及ぶこと。
つまり、がん血管内治療は局所的な治療でありながら、ハイパーサーミア療法と組み合わせることで全身的ながんの長期制御に期待が持てる点だ。