首都直下型地震への備えと対策 危機管理アドバイザー指南
■水と食料より大切なのはトイレ
タワマンが林立する勝どきや豊洲では朝のラッシュ時に駅に長蛇の列ができる。神奈川の武蔵小杉はもっとひどく、駅の改札にたどり着くまでに10分待ちを余儀なくされることもあるという。そんなタワマン過密エリアは、避難所も収容能力を超える。水や食料が不足することは容易に想像がつく。
「ライフラインが寸断して一番困るのは、トイレです。3・11のときの千葉県浦安は、液状化がひどく、マンホールが飛び出して、下水道が止まり、公立学校や避難所、公園などに仮設トイレの設置が相次ぎました。人は自宅で用を足せなくなると、避難所生活を余儀なくされます。ところが、避難所生活が長期化すると、窮屈な姿勢によるエコノミークラス症候群などを発症。最悪の場合、死に至る。健康被害は無視できません。実は直下型地震で倒壊リスクが高いのは木造と旧耐震基準のマンションで、現在の耐震基準を満たす鉄筋住宅なら、倒壊リスクは低い。つまり、マンション住まいなら携帯用トイレも十分用意して、自宅で避難生活を送る方が無難なのです」
大阪北部地震では、吉野家がガスの供給停止で41店舗の休業に追い込まれている。米がガス炊きのためだ。一方、すき家は、電気調理が中心で、休業はモールの閉店に伴う1店舗のみ。首都直下地震でガスが止まると、電気調理のチェーン店以外、外食もピンチだろう。