市民のヤジが処罰される日…「つばさの党」にガサ入れ、選挙妨害への規制強化に自民前のめり
「ヤジ排除問題」との混同はデマに等しい
音喜多氏以外にも1審敗訴以来、警察の対応は慎重になったとの論調を目にするが、この裁判で問われているのは警察の「やりすぎ行為」が妥当か否か。さすがに警察もヤジを選挙妨害として摘発していない。選挙妨害とは判例に基づき、〈組織的かつ拡声器などを使って演説を妨げる行為〉と専門家は指摘している。
「短いヤジを飛ばしただけで強制排除された市民の裁判と今回の選挙妨害は次元が異なり、混同するのはデマに等しい。規制強化の動きに押されたとはいえ、警察は判決にひるむどころか、図らずも現行法で選挙妨害を十分に取り締まれることを実証しました。東京15区補選に候補を立てず選挙妨害の実害ゼロの自民が、法改正に前のめりなのも不思議です。選挙妨害に便乗し政権批判を封じ込めたい狙いはミエミエで、この動きだけでも市民のヤジを飛ばす自由を萎縮させる効果があります」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
ヤジに切れる政治家といえば、17年都議選の安倍元首相を思い出す。つばさの党の行為と市民のヤジを切り分けないと、あの日、指をさされた「こんな人たち」が処罰される日は近づくだけである。