市民のヤジが処罰される日…「つばさの党」にガサ入れ、選挙妨害への規制強化に自民前のめり

公開日: 更新日:

 ヤクザ事務所へのガサ入れのような物々しさだった。先の衆院東京15区補選で他陣営の街頭演説を妨害したとして、警視庁捜査2課が13日、公選法違反(選挙の自由妨害)の疑いで政治団体「つばさの党」の事務所などを家宅捜索。与野党問わず選挙妨害への規制強化の声が高まっているが、市民の自由を奪いかねない「デマ」には要注意だ。

  ◇  ◇  ◇

 つばさの党の黒川敦彦代表(45)、出馬・落選した根本良輔氏(29)の自宅にもガサが入った。告示日に国民民主・都民ファーストの会推薦の乙武洋匡氏の街頭演説中、近くで大音量の演説をするなどの行為が公選法に抵触するとして、2人は選挙期間中に警告を出されていた。

 国政選挙で候補者を出した政治団体が他陣営への選挙妨害を巡り、強制捜査を受けるのは異例だ。

 事務所の建物入り口には、甲冑のような防具をまとった機動隊員を配置。反社組織さながらの扱いには、捜査当局の「一罰百戒」「みせしめ」の思いが強くにじむ。

 強制捜査を受け、自民党の茂木幹事長は「罰則強化など実効性のある対応をしっかりと検討していきたい」と法改正に意欲マンマン。既に日本維新の会は公選法の「選挙の自由妨害罪」を適用しやすくする改正案の概要をまとめている。

「乙武氏を応援した小池都知事も、つばさの党の嫌がらせに怒り心頭。国会の議論よりも先に、6月の定例都議会で都ファを通じて悪質な選挙活動を制限する条例案を提出するとも言われています」(都政関係者)

 選挙の自由妨害罪の法定刑は4年以下の懲役もしくは禁錮か、100万円以下の罰金。問題は規制や罰則の強化を求める議論の中に筋違いの意見が混じっていることだ。例えば維新の音喜多駿参院議員は自身のXに〈警察が極めて慎重・及び腰になっている〉理由として〈札幌における事件がきっかけだと思います〉と投稿していた。

 札幌の事件とは、2019年参院選で札幌駅前で遊説中の安倍元首相に向け、「アベやめろ」「増税反対」と地声で叫んだ市民2人が警察に取り囲まれた上、強制移動させられた「ヤジ排除問題」を指す。2人は道警に損害賠償を求めて提訴。1審は2人とも勝訴したが、2審は判断が分かれ、敗訴した1人は現在、上告中である。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…