国会議事堂の外壁をつくった「ナカノフドー建設」は1885年創業 知る人ぞ知る100年企業
日本橋や国会議事堂、旧帝国劇場など名だたる建物の施工に携わったゼネコンはどこか?
知る人ぞ知る企業だが、それがナカノフドー建設だ(1885年開業)。石材建築を得意としたことから白羽の矢が立ったのだという。
実際、日本橋(1911年完成)には、同社が茨城県稲田地区で開発を進めたという「稲田みかげ」が使われ、重要文化財としての価値を高めている。稲田みかげは酸性雨にも強く、現在の日本橋は東京大空襲の傷痕を残しながら2010年に行われた大規模な補修工事を経ても当時の姿をとどめている。
国会議事堂の請負業者は278社にのぼるとされているが、どこを担当したのか?
「当社は国会議事堂のシンボルである外壁を担当し、花崗岩(御影石)による見事な造形美で完成させました。日本橋と同様、当社で開発した石山を持っていたので、資材の調達が速やかに行えていたことも成功の秘訣です」(担当者)
その一方、東京オリンピックの競輪選手のために建設された日本競輪選手養成所(2019年竣工)の250メートルトラックを手掛けた際は、資材不足に泣かされたという。「当時はオリンピック事業や再開発事業などが重なり、国内の鉄骨業者は逼迫していて、当初検討していた国内での鉄骨業者ではスケジュールが間に合わない状況でした。そこで、鉄骨を韓国から輸入することに。海上輸送となるためサビの発生が懸念され、輸出前にサビから守る『防錆塗装』を施すなど工夫をして無事工事を終わらせることができました」(前出の担当者)
元々、海外に強い企業だけに、そこはお手の物。アットホームな会社で昨年からはテレワークを導入するなど残業時間の抑制にも取り組んでおり、前年度比約3割も残業時間が減った。知る人ぞ知る100年企業の挑戦はこれからも続く。