フロント係がトイレ掃除までこなす激務 仕事中は立ち詰めで腰痛が深刻化
ホテルのフロントマン編
内藤徹さん(仮名=67)は、大学卒業後サービス業で働き、定年後の雇用延長を終えて2年前、埼玉県内のビジネスホテルでバイトを始めた。勤務は週に2回。深夜のフロントマンだ。
拘束時間は午後3時から翌朝10時までの19時間。そのうち3時間は仮眠休憩のため実働16時間だ。時給1400円で合計2万2400円になる。
「1回の勤務で普通の仕事の2日分を稼げるから割のいいバイト」と内藤さんは満足している。
ただ、問題があった。このホテルには文書化された業務マニュアルがない。そのため4人いる男性社員の指導がバラバラなのだ。
「たとえば予約客の情報を用紙に書く作業。ある社員は『備考欄は赤ペンで書け』と言い、他の社員は『赤ペンはダメだ。黒インクで書け』と指導する。パソコンの入力方法もしかり。4人が4人、てんでんバラバラのことを要求するのです」
4人は内藤さんより年下の30~40代。プライドが傷ついたが我慢していた。しかし、あるときリーダー格の社員から「あんた、何度言ったら分かるの」と叱責されて我慢の限界に達した。内藤さんは「教え方がバラバラのこの会社が悪い。マニュアルを統一してくれ!」と一喝。他業種ではどのような指導法を取っているのかをこんこんと説教した。相手はそのけんまくに圧倒され、以来文句を言わなくなった。