飲食業界は人件費削減に必死…時短と休みが多く思ったほど稼げない
高級割烹編
私がこのコラムを書いていると知って、友人たちがバイト勤務の情報を提供してくれるようになった。彼らの話は喜ぶ人、悲しむ人、それぞれだ。
「がっつり稼ごうと思ったら当てが外れた」というのは元不動産業の最上氏(仮名=66)。
65歳までの雇用延長が終わり、バイトで年に200万円稼ぐのを目標に就活を開始。都内の割烹店の調理場で働き始めた。仕事は簡単な調理助手。材料を運び、野菜などをカットする。
仕事は重労働ではないが問題がある。思ったほど稼げないのだ。
「時給は1350円。月に22日勤務で18万円になる計算でした。ところが、時短と休みが多いのです」
募集広告には「午後5時~11時勤務」と書かれていたが、実際は客が帰って仕事がなくなると午後10時に終わってしまう。1時間の時短だから、1日に5時間分しか稼げない。9時半に終了することもあり、その場合は90分の早上がり。報酬が2025円減ることになる。
以前、本欄で道路工事の警備員は30分で仕事が終わっても1日分の日当が支払われることをリポートしたが、そのルールは飲食業界には通用しない。飲食店の多くは新型コロナ前の売り上げを回復できていない。そのため、どの店も人件費の削減に必死なのだ。