ペットの「かかりつけ医」は企業体と町医者でそれぞれ長所と短所がある
スタッフにも時間をやりくりしてもらって出勤してもらっているため、コミュニケーションが取れていないワンちゃんまで対応できないので、お断りしました。
その方のかかりつけがどこか分かりませんが。最近の動物病院は個人で開業するケースが減り、新規開業はほとんどが企業体か、その分院。あるいは個人の動物病院が企業体の傘下になったり、売却したりするケースです。動物病院でも後継者不足は切実で、コンサル会社が仲介して売却されることが珍しくありません。
企業体は、運営が企業ですから、治療を含めて合理的です。たとえば獣医師を含むスタッフはシフトで管理し、治療指針も統一。全員が同じ診療マニュアルに基づいて診察するため、常に同じ獣医師が診察するとは限りません。シフト次第ですが、営業日を年中無休にしていたりするので、サービス業はじめ仕事の時間が不規則な方には企業体の営業スタイルはメリットでしょう。ただ、画一的な診察なのでドライで、費用面はじめ融通は利きにくい。
では、私のような町医者はどうか。休診日があり、夜中の診療はしていません。あくまでも診察時間に受診していただくスタイルです。時間の制約がある飼い主さんには厳しいかもしれませんが、メリットは同じ獣医師が一貫して診察してくれるので、信頼関係を構築しやすい。もうひとつは、休診日の融通や治療と費用のバランスです。この点については、かかりつけの関係ができていれば、かなり相談に乗ってくれるはずです。
この正月休みの休診対応で困った飼い主さんはこのような視点でかかりつけの動物病院を探すのもひとつの方法です。
(カーター動物病院・片岡重明院長)