ウェルビーイングな生き方(下)若い世代の5%の動きがイノベーションを起こせば幸福な社会に
──幸福の4つの因子を実現していくために個人として、あるいは社会としてどういう変化が必要でしょうか。
前野 出る杭は打たれ、同調圧力が強い日本社会のあり方を変えていく必要があるでしょうね。高度成長時代ならいざ知らず、先が見えない時代を乗り切っていくには、人の目を気にしてないで、自分らしく生きた方がいい。個人も社会も変えるべきところです。もう一つは、わくわく働き自己肯定感を高められるような社会づくり。その点、応用が利くAIの登場はチャンスですね。学生たちを見ていると起業したり、農業を始めたり、生き方が多様化してきている。この5%の動きが広がっていくと面白い。
──今後も南海トラフも含め大地震が予測される中、東京一極集中は限界です。
前野 東京から出ると給料が半分になるとネガティブな受け止めをする人がいまだに多いのですが、もはや価値が違ってきています。仮に年収が半分としても、地価や物価が安いうえ、自然環境に恵まれているから、実は地方暮らしの方が精神的には豊かなことが多い。僕の知り合いで、IT系の人が宮崎に行って農業をやっています。「年収は3分の1になっちゃったけど、100倍幸せになった」と言っていますよ。