たばこ税収が162億円もあるのに分煙環境整備が進まない現実

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■他の政令指定都市と比べても圧倒的に少ない

 公衆喫煙所の未整備は観光客にとっても不自由極まりない。札幌を訪れる観光客は2023年度上期(4~9月)が約946万人で前年度同期比38%の大幅増で、ほぼコロナ前の水準に戻った。今年度はさらに増えており、市内の至る所でインバウンドの姿を目にする。そんな外国人旅行者の多くは、自国の習慣から屋外は喫煙OKとの認識で、ホテル前や盛り場の路上などで平然と喫煙しているシーンを見かける。喫煙ルールの周知徹底が行き届いていないのと、公衆喫煙所の存在がほとんどない状況のため、路上喫煙を避けられないのである。

 あらためて札幌市の令和6年度予算書をチェックしてみた。市税3465億円のうちたばこ税は162億2300万円で4.7%を占めている。

「たばこ税は市が何もしなくても入ってくる貴重な財源で、使い道も自由」(地元関係者)という実に重宝な存在である。納税者は喫煙者である。せめて税収の1割ぐらいは公衆喫煙所設置など分煙環境整備に充ててもおかしくない財源である。総務省は4月1日付で地方自治体の首長向けに「地方たばこ税の安定的な確保と望まない受動喫煙対策の推進のための分煙施設の整備促進について」という通知を送っている。

 今回明らかになった大通公園公衆喫煙所中間報告の結果と162億円ものたばこ税収の存在は何を物語っているか。札幌市当局は民意と納税者の意向をくみ取って、分煙環境整備促進に向け、もっと積極的に取り組んでいくべきだろう。 (おわり)

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