ダイハツ工業(下)不正が行き着く先は…軽自動車再編へスズキと統合か
トヨタ自動車は2016年8月1日、ダイハツ工業を完全子会社にした。これを機に元会長の白水宏典技監がダイハツを去った。軽自動車でスズキに次いで万年2位のダイハツを一気にトップに引き上げた立役者が経営の第一線から退場した。
「トヨタの帝王」(豊田章男トヨタ自動車会長)が「ダイハツの天皇」(白水宏典氏)からダイハツの経営権を奪い返したと評判になった。
白水氏は1940年8月、佐賀県鳥栖市生まれの83歳。63年、九州大学工学部造船科を卒業、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)に入社。田原工場第2製造部長を経て、92年に取締役に昇格。常務、専務と昇進を重ね、2001年取締役副社長に就いた。
03年、舌禍事件を起こす。「英国人労働者はフランス人に比べ働かない」と英紙フィナンシャル・タイムズに語ったのだ。
日本の新聞も大きく報じた。記事によると白水副社長は、〈「英国の工場は仏などに比べると20%も生産性が低い」と指摘。「タイ人が仕事へ適合しようと努力するのに対して、英国人は仕事をえり好みし、直ぐに職を変える傾向がある」〉などと発言していた。〈トヨタは「報道された生産性に関する発言は当社の公式見解とは異なるもので大変遺憾」〉とおわびのコメントを発表する騒ぎとなった。