「紅麹問題」で会長&社長辞任も脱一族経営は見せかけ…小林製薬の再建が厳しいこれだけの理由

公開日: 更新日:

持ち株手放さずして改革なし

 事件発覚から半年、やっとトップ2人が辞任したが、小林製薬の再建は進むのか。

 もともと、財務は盤石だが、今回ばかりは会社経営への影響は計り知れない。金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう話す。

「小林製薬はユニークな商品を世に送り出し、その開発力が支持されています。そのため、あれだけの不祥事にもかかわらず株価は2割程度の下げ幅で収まっています。無借金経営で債務の返済がないため、財力もあります。とはいえ、今回は人の生死に関わる深刻な問題です。企業の信用やブランド価値の低下は避けられない。今後さらに被害者が増えれば、莫大な損害賠償が経営の足かせになる可能性もあります。まだ全容を解明している最中ですが、再建に向けた不安要素は大いにあります」

 トップ2人が交代したとはいえ、会長だった一雅氏は特別顧問になり、社長だった章浩氏も取締役を続ける。

 結局、元凶とされる2人は会社に残っており、ガバナンス改革という点で疑問が残る。

「社長が退いたとはいえ、内部の人間を昇格させただけ。創業家の人間は社内に残ったままで、改革が中途半端です。何より、小林製薬の筆頭株主は章浩氏です。持ち株を手放さない限り、会社は小林家の持ち物のまま。株保有にメスを入れないと現在の体質は改善されず、また同じような問題が起きてしまうことも考えられます」(森岡英樹氏)

 膿を出し切ったわけではなさそうだ。

  ◇  ◇  ◇

 小林製薬は安倍元首相の政党支部に2022年までの10年間で計280万円、国政協には22年までの34年間で計1391万円を献金していたという。毎年欠かさずだ。●関連記事【詳しく知る】は必読だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    楽天・田中将大は今や球団の「厄介者」…大幅負け越し&パワハラ関与疑惑に年俸2億円超ダウン

  2. 2

    巨人「助っ人野手の獲得下手」汚名返上できた納得の理由…今年はなぜ2人とも“当たり”?

  3. 3

    楽天・田中将大に囁かれていた「移籍説」…実力も素行も問題視されるレジェンドの哀れ

  4. 4

    “懲罰二軍落ち”阪神・佐藤輝明に「藤浪化」の危険すぎる兆候…今が飛躍か凋落かの分水嶺

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    松原千明ちゃんとの結婚と死会員限定記事

  2. 7

    松田聖子が『博士ちゃん』昭和歌手特集でランク圏外のナゾ…令和もトップ走る聖子らしい“こだわり”

  3. 8

    巨人・阿部監督「心折れそう」…ヘルナンデス痛恨の左手首骨折離脱で現場&フロントWパンチ

  4. 9

    「24時間テレビ」に“旧ジャニーズ不要論”噴出…20年以上続いたメイン司会途絶えて視聴率回復の皮肉

  5. 10

    やす子「24時間テレビ」での好感度上昇は諸刃の剣…早くも“イジリにくい芸人”になる懸念