世の中の「しにくい」が「しやすい」に一変…できる人だけが実践している“たった1つの考え方”

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 世の中には「誰がこんな使いにくいものを作ったんだよ……」と心の中で叫びたくなる商品やサービス、しくみ、ルールがあふれている。

 では、できる人は、一体どうやって「しにくい」を「しやすい」に変えているのだろうか? 

 コクヨのワークライフコンサルタント・下地寛也さんの著書で、「分ける技術」を駆使してありそうでなかった「しにくい」の解決を探った本『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

  ◇ ◇  ◇

◼️どうすればうまく分けられるのか

「しやすい」は、たったひとつの技術を身につけることで実現できる。それが上手に「分ける」技術だ。

 コクヨのキャンパスノートが30行に分かれているのも、宅配ピザのMサイズがたいてい8等分にされているのも、ディズニーランドがエリア別に分かれているのも、すべて理由がある。「気が利いている」ものは、誰かが絶妙な分け方を考えたはずなのだ。

 どう分ければ「しにくい」が「しやすい」に変わるのか。

 仕事は、この1点を考えることで劇的に変わる。

 分けるときにもっとも大切なことは、「目的と分け方が合っているか」

「使いにくい」「わかりにくい」と感じるときはたいてい、「目的」と「分け方」にミスマッチが起こっている。

 ネットで消耗品を注文するとき、セットになっている数量が多すぎて「買いにくい」ことがある。これは配送の都合で分けられているからだ。

 役所で手続きをするときに窓口が「わかりにくい」ことがある。これは担当部門の都合で分けられているからだ。スーパーで惣菜を買おうとしたとき、魚の惣菜と肉の惣菜が別のコーナーに置かれていて「選びにくい」ことがある。これは食材の担当の都合で分けられているからだ。携帯電話のプランが複雑すぎて「選びにくい」ことがある。これは他社より安く見せたいというメーカー側の都合でプランが分けられているからだ。

 世の中に溢れる「しにくい」は、その商品やサービスを提供する側の都合で分けられていることで起こっている。このミスは、分ける目的を考えれば防げるはずなのだ。

◼️「生きにくい」を「生きやすい」に変えた坂本龍馬

 ただし、「あえて分けない」ことでうまくいく場合もある。

 先ほどコクヨのキャンパスノートの話をしたが、ノートにはあえて罫線(けいせん)で「分けない」タイプもある。「方眼タイプ」や「無地タイプ」だ。企画業務やクリエイティブな仕事をしている人は、イラストや図などを描きながら自由に発想することも多く、あえて罫線で分けないほうが「考えやすい」こともある。

 最近では当たり前になってきたオフィスの「フリーアドレス」は、部門ごとのセクショナリズムが発生しやすかったオフィス環境から他部門の社員とも「コミュニケーションしやすい」場に変えた。これも「あえて分けない」典型的な事例と言える。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、元々はハリウッド映画のコンテンツを中心としたテーマパークだったが、スヌーピーやエルモ、さらにはハローキティやマリオといった日本のキャラクターまで取り入れ(当初はあんなにごちゃまぜで大丈夫かなと思ったが)、カテゴリーを分けないワクワク感を生み出している。

 映画コンテンツだけだと大人から子供までは「楽しみにくい」状態だったが、見事に幅広い層にとって「楽しみやすい」に変えたわけだ。

 日本中が「藩」という分け方をベースに考えていた江戸時代。坂本龍馬は、自分は「土佐藩」に所属しているのではなく、「日本国」に所属しているのだと考えた。

「藩」という分け方をやめて、ひとつの「日本」という括りにして、人々を「生きにくい」から「生きやすい」に変えようとしたわけだ。龍馬の「日本を今一度せんたくいたし申候」という言葉はつまり、「分けるのをやめてひとつにしよう」ということでもある。

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