M&A総研HD(下)創業者は33歳…米誌「Forbes」の世界長者番付に最年少でランクイン
「これを改善すればもっと生産性の高いM&A仲介ができる」と考えた佐上氏は、M&A総研を立ち上げた。
その強みを佐上社長はマッチング能力と営業手法にあると説明する。佐上氏はもともとエンジニアでプログラミングに詳しい。マッチングでもAIとビッグデータを活用した独自のシステムを自社開発している。
営業には、ナンバー2にキーエンス出身者を迎え、キーエンス流の営業可視化やデータ管理を徹底、効率化を図った。
この2つを原動力に、M&A総研は急成長を果たしてきた。それがなぜ、悪徳買い手企業に手を貸す結果になったのか。
■報酬体系に問題が
佐上社長は9月19日のM&A仲介協会の会見に出席した際、「悪質な相手とは知らなかった」と弁明するとともに「報酬体系に問題があった」とも語っている。
M&A総研の営業社員は、仲介報酬に応じてインセンティブを受け取っており、社員の平均年収は2300万円にもなる。つまり、成約すればするほど収入が増える仕組みになっており、それが悪質案件につながったというわけだ。