パン・パシフィック・インターナショナルHD(下)ドンキ創業者は23歳の息子にオーナーの座と財産を譲る
■相続税や贈与税がないシンガポールに移住
では、どうするか。創業者の隆夫氏は怠りない。十重二十重の税金対策を施した。隆夫氏は15年6月にPPIHの代表取締役会長兼CEOを退任し、創業会長兼最高顧問に就任した。そしてシンガポールに移住。この国には相続税や贈与税がない。
日本政府は相続税逃れ対策として「10年ルール」を設定している。海外に家族が全員移住しても、10年未満の場合は海外に移した資産について相続税や贈与税が課せられる。
言い方を変えると、海外に移した資産は10年を超えれば日本の相続税や贈与税は課せられずに済む。
安田氏は間もなく「10年ルール」の縛りが消える。
PPIHの筆頭株主は「DQ WINDMOLLEN B.V.」。所在地はオランダのアムステルダム市となっている。持ち株比率は22.45%(6月30日時点)。隆夫氏は保有する自社株約1550万株をオランダにある本人の資産管理会社に約650億円で売却(移転)した。