「ホープ軒」は千駄ヶ谷で開店50年…牛久保英昭社長に聞く「私の根底にあるのは『お客さんはタクシー運転手』」
「赤羽でやっている時に、現在の『ホープ軒本舗』が出していた屋台募集の広告を見つけ、赤羽でやるよりかは都心の方で屋台を引く方がいいだろうと思って移りました。最初は新宿周辺から始めて、そのうちNHKの本部があった内幸町あたりを開拓しまして。東京新聞やジャパンタイムズなど、マスコミの人が多くてね。普通は昼時に客が集中するけど、マスコミの人は昼の時間が決まっていないから、誰かしら次々とやって来る。言ってみれば、昼の時間がずっと続いているわけです。NHKの近くでNHKの水を使って、スープを作っていました(笑)。本当はダメなんだろうけど、当時のNHK労働組合の委員長が、『いいから使え』って言うんで。本当に世話になったなあ」
この頃、ホープ軒の代名詞である背脂スープが誕生した。
「当時のラーメンスープは澄んだものが主流でした。沸騰させちゃいけないし、濁らせちゃいけない。ラーメン専門店なんてほとんどない時代で、スープといえば中華料理屋が使っているものでした。いろんな料理に使うから、濁らせてはいけないことに気が付いたんです。こっちはラーメン屋だから、少しぐらい濁ったって自分がうまいと思えればいい。それでバターや鶏油などを入れて試した結果、豚の背脂に行きついたんです」