世にもおぞましい都知事選と総裁選 東京からも国からも自民党の一掃を
「冷や飯食い」を「選挙の顔」に担ぐ図々しさ
2期8年ですっかり増長した女帝の独裁が続けば都庁の職員だけでなく、都民にとっても悲劇である。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「小池知事の本質は『排除の論理』。自民党の二階元幹事長に取り入り、自民党都連への接近は権力志向の表れです。脅しと恫喝で『敵』をねじ伏せ、時間をかけて話し合って『味方』にする気はサラサラない。民主主義の原則を理解しているとは思えず、彼女の都政支配が続くほど東京は『分断と対立』の住みにくい都市になります」
裏金事件の逆風で国政与党の自公両党は自前候補を擁立できず、危険な女帝にひれ伏してステルス支援。寛容な保守を標榜しながら独裁者と裏で手を組む。前代未聞の選挙戦は世にもおぞましいが、一翼を担う自民の総裁選に向けた動きも引けを取らない。
河野デジタル相が派閥ボスの麻生副総裁と会って出馬意欲を伝えたとか、石破元幹事長が菅前首相と会食して立候補に向け意見調整したとか。「ポスト岸田」と暗躍する黒幕との「会食報道」が連日、大新聞の政治面を賑わすが、どうでもいい。
国民感情とすれば自民に裏金事件の落とし前をつけさせるのが先で、ケジメもないまま「次いってみよう!」と言わんばかりにポスト岸田レースという新たな“コント”を始められても困る。
コントに例えたのはあまりにもバカバカしいからで、とりわけ石破が次期総裁の有力候補とは笑っちゃう。むろん、世論は大事。石破は地方で根強い人気があり、各社世論調査では「首相候補」として常にトップだ。しかし、そんな国民の声に背を向け、石破に「冷や飯」を食わせてきたのは自民ではなかったか。
■鼻をつまんででも蓮舫に投票するしかない
石破は時の政権に苦言も辞さないが、その「正論」が災いして党内では、すこぶる不人気だ。計4回の総裁選に立候補するも、いつも国会議員の支持の広がりに欠け、負け続き。安倍「1強」時代からは長らく「非主流派」に追いやられ、最大20人前後が集まった自派閥も21年に解散。グループ化を余儀なくされた。
その後もくしの歯が欠けるように仲間は去り、今や石破を囲む親睦団体の議員は衆参3人のみ。今なお党内の「石破アレルギー」は強く、「総裁になることはない」が通説だった。そんな嫌われ者を新たなリーダーに担ぎ出すのは永田町の図々しい論理だ。裏金事件で派閥への嫌悪感が強い中、無派閥で不人気の岸田首相とも距離があるなど屁理屈をこね、「選挙の顔」に仕立て上げようとしているだけ。石破本人も千載一遇の好機に、まんざらでもない様子がヒシヒシと伝わってくる。
「敵対した小池氏であれ、党内不人気の石破氏であれ、権力維持のためなら誰だって推す節操のなさが、自民“らしさ”です。89年にリクルート事件で退陣する竹下登首相の後継に推された伊東正義氏は『本の表紙だけを変えてもダメだ』と言って固辞してから35年。今の自民にそんな気骨ある政治家はいません。裏金にケリもつけず、顔だけ変える『刷新のふり』にはアキれるばかりです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
今回の都知事選は独裁都政に終止符を打ち、腐敗堕落政党の息の根を止めるには、またとないチャンスだ。小池「先行」の情勢に自民党内は安堵感が広がっているらしいが、小池が勝てば裏金に反省の色なし自民の「これにて一件落着」は目に見えている。
「都知事選の投票用紙はプラチナチケット。全国民が期待を寄せています。『国政の問題を都知事選に持ち込むな』という言い分を真に受けてはダメ。日本の人口の約1割の判断が国政を動かさないわけがない。小池知事が希望の党騒動で安倍1強体制を脅かし、一時は『初の女性総理誕生か』と騒がれたのも、都知事選の旋風があればこそ。今度の都知事選は間違いなく、政権交代の一里塚。裏金自民に本気で猛省をうながしたいのなら現状で小池知事に勝てる候補が他にいない以上、鼻をつまんででも蓮舫氏に一票を投じるべきです」(五野井郁夫氏=前出)
都知事選と同日実施の都議補選も自民全敗が都民の至上命令だ。マトモな政治を取り戻すには、東京からも国からも自民党を一掃するしかない。