韓国という国がなぜか羨ましい…大統領の暴挙にすぐ立ち上がった市民の意識
しかし、尹や、リベラルな野党政権ができれば冷や飯を食うといわれる軍が、クーデターを起こす可能性はゼロではないといわれる。たった一人の暴君が暴走すれば民主主義はもろくも崩れ去るのだ。
ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンは「少年が来る」で光州事件について書いている。ハンは今回の事態を見て、「死を迎えた無辜(むこ)の人々の魂が現在の人々を助けようとしているような、亡くなった『少年』が返ってきているような感覚」をもったと語っている。
過去に学び、二度と過ちを繰り返さないために立ち上がる市民がいる国。過去に学ばず、悪政にも市民が立ち上がらないこの国。
尹は即刻退陣すべきだが、危機を察知して行動に移す多くの市民たちがいる韓国を、私は羨ましく思う。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)