マエケン「メジャー挑戦」発言で広島球団が見せた“大人の度量”
そうした球団の金庫の問題があるにせよ、もともと、去る者は追わず、が球団方針。過去にエースの川口和久、4番の江藤智、金本知憲、新井貴浩らがFAで巨人、阪神に移籍する際も強くは引き留めなかった。現ヤンキースの黒田博樹のときにいたっては、FA権を取得したオフに4年12億円で残留させながら、「契約期間内のメジャー挑戦を自由に認める」との付帯条件をつける、気前の良さだった。黒田がドジャースに移籍したのはこの翌年。球団がエースの背中を押したのだ。
■「上限20億円」で三木谷オーナーは手のひら返し
そこへいくと、楽天はケツの穴が小さい。田中将大(25)がメジャー挑戦を望み、星野監督もナインもそれに理解を示しているうえ、多くの野球ファンが米球界での活躍を期待しているというのに、いまだに決断ができない。入札金が80億円だ100億円だと言われているときには「若い人が挑戦するのはいいこと」(三木谷オーナー)と言っていたくせに、入札金の上限が20億円となる新制度が合意した途端、手のひらを返した。著名な野球ジャーナリストであるピーター・ギャモン氏のインタビューで三木谷オーナーは「私は彼(田中)をポスティングにかけるつもりはない」と答えたという。
これで本当に田中の入札を認めなければ、単に田中で金儲けがしたかっただけ、ということになる。広島がエースの挑戦を容認した今、楽天はいよいよその度量が試されている。