<第18回>体重は32キロにまで激減し「生きていくために薬を飲む」生活
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
03年6月。「拒食症の一種」と精神科で診断されても、食事が取れない私は大量に渡された薬を服用するしかありませんでした。
専門医によれば、人の食べる行為は全て脳がつかさどっていて、脳が指示しない限り、空腹でも食事は取れないとのこと。実際、その頃の私は空腹感や食事の取り方を忘れ、「生きていくために薬を飲む」という生活でした。
大好きなスケートも出来ず、ただ自宅にこもる日々。体重はさらに減少し、6月下旬には32キロにまで落ちました。拒食症になる前の4月は48キロでしたから、2カ月で16キロ減です。
薬で取る栄養分は全て臓器に流れ込みます。その影響で、体脂肪のなくなった私の体には全身に白い産毛が生えてくるようになりました。まるで生まれたての「動物」そのものです。自宅にいた母もそんな異様な姿を見ていられなかったのでしょう。どんな食事を作っても手をつけない私にいら立ちを隠せなくなりました。
「何でもいいから食べなさい。口に入れるだけでしょ!」