「戦力外」まで物色 メジャー球団と代理人が日米野球で大攻勢
金子も前田もメジャー移籍には、入札制度(ポスティングシステム)を使うしかない。昨年、入札制度でヤンキース入りした田中将大(26)を例に取れば、いまの入札制度はFAとほとんど変わらない。選手の所属チームが設定する入札金(田中は約20億円)を払う意思のある球団による自由競争になる。結果としてヤンキースやドジャースやレッドソックスなどの一部金満球団以外は白旗を揚げるしかない。
■斎藤隆がモデルケース
それならメジャーのビンボー球団は、わざわざ来日して有力選手や将来のメジャー候補を指をくわえて見ているだけかといえば、そうではない。
去る9日、草薙球場で行われた12球団トライアウトには、ネット裏にメジャー関係者の姿もチラホラ。今回の日米野球に合わせて来日、その前にわざわざ静岡まで足を延ばしたのだという。
「日本のプロ野球で戦力外通告を受けた連中の中に再生できるような選手がいないか、チェックしていたのですよ」と、前出のマスコミ関係者がこう言った。
「モデルケースはメジャー7年間で通算21勝15敗84セーブ、主にドジャースで抑えとして活躍した斎藤隆(44=現楽天)です。自由契約直前の3年間でわずか11勝、自由契約で渡米してマイナー契約からはい上がった選手ですからね。メジャーの一部球団はここ数年、斎藤のように日本球界で見切りをつけられた投手の中に掘り出し物はいないか、目を皿のようにして探している。懇意にしているプロ野球の編成担当者から、戦力外になりそうな選手を紹介してもらうケースもあるといいます」
今回の日米野球に合わせて来日するメジャー関係者は、東京ドームや札幌ドームでスピードガンを手にペンを走らせているだけではない。エース級の選手から戦力外通告を受けた選手まで、モノになりそうなのは根こそぎさらっていくつもりなのだ。