マー君は開幕戦黒星 “新球”ツーシームの制球ミスが命とりに
さらに田中が多投しようと考えているツーシームには落とし穴がある。
かつてメッツのローテーション投手として活躍した現ソフトバンクの吉井投手コーチは昨年5月、田中の投球スタイルに関して本紙にこうコメントしている。
「ツーシームやカッターは、フォーシーム(純粋な真っすぐ)と比べれば球速も球威も落ちます。勝負球のスプリットを最大限に生かそうと思ったら、より球速差があるフォーシームの割合を増やした方がいい。フォーシームは打者の手元でホップするように見え、ストンと落ちるスプリットとは対照的な動きをします。上原(現レッドソックス)のスプリットがあれだけ効果的なのも、フォーシームの割合が多いからです。田中は150キロ台半ばの威力あるフォーシームを持っているだけになおさらです」
右肘を故障する以前の話とはいえ、勝つことだけを追求すれば求められる投球スタイルはむしろ逆。田中にとってはツーシームよりフォーシームの割合を増やすことがベストなのだ。
メジャー公認球はプロ野球の統一球と比べて大きく変化する。右腕のツーシームはプロ野球以上に、右打者の内角に食い込む。渡米した日本人投手はツーシームを多投する傾向がある。メジャー1年目のダルビッシュがそうで、ツーシームを軸により大きな変化を追求した結果、体の開きが早くなってフォームまで崩した。