指摘される球威不足 マー君に浮上する「速球投げられない」説
昨年8月にPRP(多血小板血漿)療法を受けたとはいえ、治療の効果はまだ、医学界で証明されていない。つまり部分的に裂けた靱帯が修復された保証はなく、いつ完全にブチッと切れてしまうのかという恐怖感を抱きながら投げているかもしれないのだ。あるいはすでに右肘靱帯は、より深いところまで断裂して痛みが生じているのか。
■肘への負担が大きいのは変化球より速球
日本のスポーツ医学界では「肘の権威」と位置付けられる慶友整形外科病院(群馬県館林市)の伊藤恵康院長(医学博士)は以前、日刊ゲンダイのインタビューでこう話していた。
「米国のスポーツ医学誌『アメリカン・ジャーナル・スポーツ・メディシン』に掲載された論文によれば、高速ビデオとコンピューターを使って運動解析をした結果、肘に多くの負担をかけるのは変化球よりも直球という結論もあります。(中略)必ずしもフォークやスプリットが肘の故障を招くとは言い切れないのです」
要するに変化球より肘に負担のかかる速球は、投げたくても投げられない、腕は強く振りたくても振れないのではないか。
だとすれば田中がツーシーム主体で打たせて取るとか、球速は期待しないで欲しいと言うのも納得。速球を投げられない今季はほとんど期待できないどころか、右肘の状態はそれだけ深刻ということになる。