ロ軍は年俸17位でWS制覇 日本の“金満”球団と何が違うのか
必ずしも金満球団が勝つわけではないのは、FAとドラフト制度が密接にリンクしていることが大きい。球団からクオリファイング・オファー(上位125選手の平均年俸と同額の1年契約)を提示されたFA選手を獲得した球団は、翌年のドラフト1位の指名権を失う。逆にFA選手を放出した球団は全球団の1巡目指名が終わった後、2巡目指名の前に補完指名を行うことができる。
しかもドラフトは完全ウエーバー制で、前年の下位チームから順に指名していく。つまり、成績が悪く、FA選手が流出した球団ほど有利な制度だ。FA選手に年俸を払えずとも、若手有望株を獲得して育成すれば、金満球団を倒すことは可能。日本ではFA選手を放出しても、見返りは微々たるカネか主力を除いた一軍半選手、あるいはその両方。メジャーとは大違いである。
スポーツライターの友成那智氏は「メジャーは分配金の制度も優れている」と、こう続ける。
「最も有名なのが“ぜいたく税”。選手総年俸額が一定以上の球団には課徴金が科され、残りの球団に分配される。これよりも額が大きいのが放映権料です。MLBの全国放送の放映権料は約1500億円。これを30球団で均等に分けるので、1球団あたり約50億円。貧乏球団ならこれだけで総年俸の大半を賄えます。もちろん、地域ごとの格差は日本以上。カンザスシティー・ロイヤルズのカウフマンスタジアムの入場料は平均20ドル程度ですが、ボストン・レッドソックスのフェンウェイパークはおよそ60ドル。高額チケットなどを加味すれば、入場券だけでも7~8倍の差はあるでしょう。それでも日本と違って分配金があるからこそ、貧乏球団にもチャンスがあるのです」